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水域ルポ

鶴見川はかつて一級河川の水質ワーストランキング上位の常連だったが、下水道整備が進むにつれて環境基準をほぼ達成するまでに回復した。平成15(2003)年の春には流域の住民による“鶴見川流域ネットワーキング”も法人(NPO)化され、鶴見川を「バク(の形の)流域」と呼び37団体が活動中とのこと。流域に暮らす人々にとって鶴見川は身近な川に変身しつつある。

“長崎の眼鏡橋”(国重文)が架かっている川が「中島川」である。中島川は長崎市の市街地を流れて長崎港に注いでおり、河口近くには「時間がない!けど出島は見たい(1時間コース)」と謳った“よみがえる・出島”記念館があり、上流には「シーボルト記念館」…といった具合に、中島川を辿ると長崎の歴史が蘇ってくる。河口からさかのぼって行くにつれて清流となり、眼鏡橋あたりになるとコイが群がり、アユもいるという。岸辺の石畳の上に造られたベンチでは市民や外人観光客が憩っている。中島川流域の下水道普及率は平成13年頃から90%を越え、処理水も中島川には放流されていない。人口40数万人の市街地をゆく都市河川としてはあまりにも美しい。

宍道湖のほとりに開けた松江市は、武家屋敷や小泉八雲で知られた観光都市。京都・奈良と並んで昭和26年には“国際文化観光都市”に指定されている。松江市は「水辺空間・生活環境があまりにも綺麗すぎて、“下水道”ということに市民の頭が回らなかった」と言われるくらい水に恵まれた美しいまち。訪れた文人たちも「松江市そのものが芸術品」と口をそろえて評価している。加えて平成9年7月20日の海の日に、“ぐるっと松江・堀川めぐり”という遊覧船が登場して、新しい観光の目玉になっている。それを陰で支えているのが下水道なのだ。

“加賀友禅流し”の金沢市内には男川(犀川)と女川(浅野川)が流れていて、市民や観光客に親しまれている。「鈴木大拙・室生犀星を生んだ犀川、泉鏡花・得田秋聲の浅野川」とも形容され、共にロマンに満ちた水辺空間を形成しているが、とくに浅野川は“女川”の愛称に相応しく「滝の白糸」(原作は泉鏡花著『義血侠血』)の舞台として観光客に人気。「鏡花のみち」と「秋聲のみち」に挟まれて流れる浅野川には、木製やコンクリート製のアーチ橋(国の登録文化財)が架かり、さながら“七つ橋・橋づくし”。下水道が整備されて水質も浅野川下流でBOD1.Oppm(年平均)。データ上では“泳げる川”になっている。

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