省スペース型高度処理法/クボタ膜分離活性汚泥法
概要
膜分離活性汚泥法(MBR:Membrane Bio Reactor)は、活性汚泥と処理水の分離を最終沈殿池ではなく膜ろ過により行う活性汚泥法です。従来型の活性汚泥法と比べて、コンパクトなシステムでありながら高度な処理水が得られる処理方式です。
また、当社のMBRは省エネ性に優れ、処理水T-N<5mg/Lを達成可能な特色ある技術となっています。
特徴
1.高度処理と創エネの両立
当社独自技術のLOOP MBRの採用により、T-N<5mg/Lの処理水質を省スペース・低コストで達成できます。
このため全系列を高度処理法に改築せずに処理場としての目標水質の達成できるためコストを削減でき、さらに創エネ施設の設置スペースも創出できます。
高度処理系列数の削減により窒素除去に回すBOD量を削減でき、バイオガス発生量の増加が期待できます。
2.省エネルギー
新型膜ユニット、サイフォンろ過、エアリフトポンプ等の採用、送風量の自動制御技術等の組み合わせにより、
MBRシステムの消費電力量を0.22kWh/m3※1まで低減できます。更に、消費電力量が少ない標準活性汚泥法との
並列運転を行うことで、従来の高度処理法に比べて同等以下の消費電力で高度処理が可能です。
※1 標準的な流入条件を想定した場合の試算値
3.流入変動に強いプロセス
最終沈殿池からの活性汚泥の流出リスクがないため、一時的な流入増加に対し最大2.4倍の水量変動に対応できます。
4.容易な膜洗浄
薬品洗浄は年数回、膜を反応タンクに浸漬したまま薬液を注入するだけ完了し、自動化されています。
このため標準活性汚泥法との並列処理でも、維持管理の負担が増加しません。
5.長寿命
膜の型式がシート状の平膜のため下水中に含まれるし渣の絡み付きが生じにくく、膜の交換頻度を低減できます。
適用
1.T-N<8mg/L、またはT-P<1mg/Lの高度処理を要する下水処理場 高い窒素・りん除去率が求められる施設において、MBRは経済優位性を発揮します。
2.高度処理とバイオマス活用の両立を目指す下水処理場 処理水T-Nの目標水質が10~20mg/Lである下水処理場において、一部の系列で集中的に高度処理を行い、
残りの系列で有機物源の回収を優先した処理を行うことが可能です。
3.敷地条件に制約がある下水処理場 従来高度処理法と比べ、土木躯体容量を大幅に削減できる省スペースな処理方式であるため、
土木躯体の建設を伴う処理場の新設・増設工事に加えて、敷地に余裕がない下水処理場の再構築事業
等にも有効です。
実績
国内下水処理場23件(2024年5月現在 建設中を含む)
<中大規模下水処理場の実績>
・名古屋市守山水処理センター(計画汚水量5,000m3/日、平成22年1月竣工)
・堺市三宝水再生センター(計画汚水量60,000m3/日、平成23年3月~平成26年3月)
・堺市泉北水再生センター(計画汚水量20,000m3/日、平成28年3月竣工)
・大阪市中浜下水処理場(計画汚水量40,000m3/日、令和3年9月竣工)
・大阪市海老江下水処理場(計画汚水量34,650m3/日、令和6年4月竣工)
・熊本市東部浄化センター(計画汚水量34,400m3/日、令和6年3月竣工)
・琵琶湖東北部浄化センター(計画汚水量10,650m3/日、令和7年2月竣工予定)
・大津市水再生センター(計画汚水量18,800m3/日、令和9年3月竣工予定)
多槽循環式MBRシステム(LOOP MBR)
LOOP MBR
新型膜ユニット SP Series
平膜をモジュール化し、集積度を向上しました。膜洗浄が容易、夾雑物に強いという平膜の利点を活かしながら、従来よりも膜洗浄のための空気量を約60%削減しました※3。
※3:当社従来品比
<膜の仕様>
型式:浸漬型有機平膜
膜材質:塩素化ポリエチレン
孔径:平均0.2µm(公称0.4µm)
<膜ユニットのラインナップ>
膜面積:225~900m2/台
適用水深の下限値は2.3m以上と幅広いニーズに対応します。
省エネルギー型MBRシステム
新型膜ユニット、省エネルギーを実現する技術の採用により、従来のMBRシステムから消費電力量を0.29kWh/m3へ、約55%削減しました※4。
※4:循環式硝化脱窒型膜分離活性汚泥法、日最大水量5,000m3/日の場合の試算値
1.サイフォンろ過
平膜は圧力損失が低いため、反応タンクとろ過水タンクの水位差を利用したサイフォンろ過が可能です。ポンプろ過と比較し、ろ過動力を約99%削減
2.エアリフトポンプ
エアリフト効果により反応タンク汚泥を循環します。返送汚泥ポンプと比較し、循環動力を約99%削減
膜ユニット(左:SP450、右:SP675)
消費電力試算値
スマートMBR「スクラム(SCRUM)」
クボタが持つ膜ユニットを中心とするハード技術と、共同開発者である東芝インフラシステムズが持つプロセス制御を中心とするソフト技術を組み合わせ、MBRの消費電力の大部分を占める曝気風量を削減し、電力使用量0.22kWh/m3※5を実現しました。
※5 標準的な流入条件を想定し、更に前出の省エネルギー型MBRシステムを採用した場合の試算値
1.膜洗浄曝気の削減
膜ろ過圧力予測モデルを用いた膜洗浄用風量の最適化により、最低限の風量で膜洗浄を実施可能としました。
2.補助散気風量の削減
アンモニア濃度計を用いることで硝化性能を確保するために必要な酸素量を最低限にすることで、酸素供給量を最適化して補助散気用風量を削減可能としました。
SCRUMのシステム概略説明図
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水循環プラント営業部
TEL : 03-3245-3337