低圧集砂式揚砂設備は、合流式下水道、あるいは分流式下水道の雨水沈砂池の集砂・揚砂設備として開発されたシステムです。通過面積の大きな集砂ノズルで集砂水を低圧散水して集砂する方式で、高圧水を噴射して集砂する高圧集砂方式に対して低圧集砂と呼んでいます。機器構成が単純で維持管理が容易なため、従来の除砂設備に比べコスト縮減が図れます。

合流式下水道では雨水排水後も、雨水沈砂池やポンプ井には排除しきれない下水が滞留しています。この滞留水が時間経過とともに腐敗して悪臭を発生したり、降雨初期に腐敗滞留水がポンプ場から河川などの公共用水域に放流されてしまいます。
これらの防止策として、雨水沈砂池や雨水ポンプ井から沈砂と滞留水を排除する「ドライ化」をおこなうポンプ場が最近増加しつつあります。
低圧集砂式揚砂設備は雨水沈砂池およびポンプ井のドライ化が可能で、しかも従来の除砂設備に比べて設備費・維持管理費の縮減が図れる除砂設備です。

１．コスト縮減に貢献
　器構成が単純で管理が容易なので、従来の除砂設備に比べ設備費・維持管理費の縮減が図れます。

２．雨水沈砂池のドライ化
　雨水沈砂池、ポンプ井の滞留水を排除してドライ化するので、腐敗滞留水による悪臭の防止や公共用水域への汚濁排水量の削減が出来ます。

３．集砂時に下水ミストの発生が無く衛生的
　低圧散水による集砂のため、下水ミストの発生がなく衛生的で沈砂池に覆蓋などが不要です。

４．閉塞のない集砂ノズル
　集砂ノズルは通過面積を大きく設けた形状のため、夾雑物による閉塞の恐れがなく清掃などの手間も不要です。

５．自動運転が可能
　無人による自動運転が出来ます。

低圧集砂は合流式および分流式の雨水沈砂池の除砂設備に適用できます。
水中での集砂はできませんので、流入阻水扉、エアダムなどにより下水の流入を停止し沈砂池の排水をしてから集砂します。
集砂トラフ、揚砂ポンプピットを沈砂池の砂溜りを利用して設けるため、既設ポンプ場に適用する場合、ある程度の砂溜り深さを必要とします。

・採用数：全国81ヶ所364池（令和5年7月時点）。

設備は、沈砂池底部に設けた集砂トラフと傾斜底盤・集砂配管・集砂ノズル・集砂切替弁・流量調整弁からなる集砂装置、集砂ポンプ、揚砂ポンプ、沈砂分離機、循環水スクリーンなどから構成されます。
集砂装置は、雨水沈砂池中央の揚砂ポンプピットに向かって勾配を設け、大小のトラフを配置することにより、効率よく集砂できる形状としています。
雨水沈砂池底の側壁に沿って並べられた集砂ノズルは、通過面積を大きく設けた形状で、滞留水中のきょう雑物による閉塞のおそれがなく清掃などの手間も不要です。
集砂は、雨水沈砂池の大きさに応じて幾つかのブロックに分けて行うことにより集砂水を効率よく使用します。


設備の運転は次のように行います。
１．降雨後の適当な時期に、流入阻水扉、エアダムなどにより雨水沈砂池への下水の流入を停止します。
２．集砂ポンプを運転して雨水沈砂池、ポンプ井の滞留水を汚水沈砂池へ排水して水位を下げます。
３．沈砂分離機、循環水スクリーンを運転して集砂・揚砂の準備をします。
４．揚砂ポンプを運転して沈砂池の排水をします。
５．ポンプ井の滞留水を集砂ポンプで集砂装置に送水して集砂ノズルから低圧散水し、沈砂をトラフに流して雨水沈砂池中央の揚砂ポンプピットに集めます。
６．集砂は雨水沈砂池を幾つかのブロックに分け、各ブロックを順番に集砂します。
７．ポンプピットに集めた沈砂は、揚砂ポンプで沈砂分離機に送り集砂水と分離します。
８．分離された沈砂はホッパーに貯留後処分されます。
９．集砂水は循環水スクリーンできょう雑物を除去後、ポンプ井に戻し循環利用します。
１０．集砂・揚砂終了後、ポンプ井に残った滞留水は集砂ポンプで汚水沈砂池へ排水し、雨水沈砂池、ポンプ井をドライ化します。

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