１）はじめに
エネルギー問題や電力不足に伴う再生可能エネルギー増産の観点から、下水汚泥の嫌気性消化槽およびそこで発生する消化ガスの利活用がますます注目されています。
日本では300箇所以上の下水処理場で嫌気性消化法が導入され消化ガスが発生しています。しかしその3割以上が焼却処分され、エネルギーとして利用しきれていないのが現状です。その背景には、これまでの既存の消化ガス発電システム（ガスエンジン、ガスタービン等）が大型かつ高コストであり、全国の多数を占める中小規模下水処理場への導入が困難であったことが一因にあります。
大原鉄工所は、下水処理場で手軽に消化ガスによる発電を可能にするため、市販のディーゼルエンジン発電機のエンジン部分のみをガス化改造することにより、小型で低コストの消化ガス発電機を開発しました。

２）仕様
中小規模処理場をターゲットとして下記3機種をラインナップし、処理場規模に合わせた最適な設置台数のご提案が可能です。
▪ BG30A （25 / 30 kW）
▪ BG60A （50 / 60 kW）
▪ BG60B （75 / 90 kW） ※いずれも50/60Hz

１）クラスナンバーワンの発電効率
消化ガス中のメタン濃度は、原料や嫌気性消化のシステム等の要因により、処理場毎に異なります。
それに対応するため燃料供給を空燃比制御により行うことで、クラスナンバーワンの発電効率を実現しています。
２）空燃比制御によるメタン濃度変動への自動追従
O₂センサと燃料弁による自動制御により、燃料ガス中に含まれるメタン濃度が変動しても燃料弁が最適な開度となり燃料ガスの供給量を調整、最も効率の良い空燃比での発電が可能です。
３）台数制御と出力制御
通常は処理場規模に合わせて発電機を複数台設置し、発電機単体は100%負荷運転とした運転台数を制御する台数制御運転を行い、システム全体として高効率運転を維持します。
消化ガス発生量が少ない場合、消化ガス発生量の変動が多い場合、消化ガスの貯留バッファが取れない場合などは、発電機単体をガスタンクレベルの増減に追従させて出力の調整を行う出力制御運転が可能です（50～100%負荷）。
４）優れたメンテナンス性
市販のディーゼルエンジン発電機をベースに製造しているため、部品のほとんどが市販品であり調達が容易です。またメーカー以外でも整備が可能（地元対応が可能）な項目が多く、メンテナンス性に優れた製品となっています。
５）多様なオプション・システム
ガス発生量、ガス濃度、ガス精製、ガス供給圧、排熱利用（温水）の有無など、現場条件に合わせて多様なオプションの設計・システムの構築にご対応致します。

消化ガスが発生している下水処理場をはじめ、様々なバイオガス発生施設に適用できます

１．消化ガス中のメタン濃度が低い処理場にも導入できます（メタン濃度50%以上～）。
２．出力制御により消費ガス量を調整可能なため消化ガス量が少ない小規模処理場にも導入できます（ガス発生量150Nm³/日以上～）。

全国下水処理場、食品工場、公共・民間廃棄物処理施設、牧場他：採用実績150台以上

1）場内消費
　消化ガス発電機によって発電された電力を全て施設内で消費する方法です

2）FITによる売電
　消化ガス発電機によって発電された電力をFIT(固定価格買取制度）を利用して売電する方法です

形式	BG30A	BG60A	BG60B(ﾀｰﾎﾞ搭載)
出力（kW）	25 / 30	50 / 60	75 / 90
電圧（V）	200V級 / 400V級
メタン濃度（％）	55 ～ 65
ガス消費（Nm³/h）	14.3 / 17.2	28.5 / 34.3	42.8 / 51.4
供給圧（kPa）	3.0 ～ 5.0
硫化水素濃度（ppm）	10以下
シロキサン濃度（ppm）	0.02以下
形式	4サイクル水冷直列縦型
気筒数	4	6
総排気量（L）	4.3	8	12
回転数（rpm）	1500 / 1800
駆動方式	エンジン直結
発電効率（％）	32 ± 2
熱回収効率（％）	40 ± 3
寸法（W x L x H）（mm）	860 x 3268 x 1630	1180 x 3890 x 1720	1180 x 4710 x 1850
質量（kg）	2000	3000	3000

※本製品は(独)土木研究所が基礎研究を行った技術を基に、新潟県と長岡技術科学大学と共同で開発・製品化したものです。

お問い合わせ先
株式会社大原鉄工所　営業部
TEL : 0258-24-2351　 FAX : 0258-24-8201